一級水系
一級水系とは、河川法に定められている日本の水系の区分により、国土交通大臣が国土保全上もしくは国民経済上で特に重要として指定された水系のことである。「河川法第四条第一項の水系を指定する政令」に基づいて、全国で109水系(下記、参照)が指定されています。全国の一級水系
北海道開発局
天塩川、留萌川、石狩川、尻別川、後志利別、鵡川、沙流川、十勝川、釧路川、網走川、常呂川、湧別川、渚滑川
東北地方整備局
岩木川、高瀬川、馬淵川、北上川、鳴瀬川、名取川、阿武隈川、米代川、雄物川、子吉川、最上川、赤川
関東地方整備局
久慈川、那珂川、利根川、荒川、多摩川、鶴見川、相模川、富士川
北陸地方整備局
荒川、阿賀野川、信濃川(千曲川)、関川、姫川、黒部川、常願寺川、神通川、庄川、小矢部川、手取川、梯川
中部地方整備局
狩野川、安倍川、大井川、菊川、天竜川、豊川、矢作川、庄内川、木曾川、鈴鹿川、雲出川、櫛田川、宮川
近畿地方整備局
由良川、淀川(琵琶湖)、大和川、円山川、加古川、揖保川、紀の川、新宮川、九頭竜川、北川
中国地方整備局
千代川、天神川、日野川、斐伊川、江の川、高津川、吉井川、旭川、高梁川、芦田川、太田川、小瀬川、佐波川
四国地方整備局
吉野川、那賀川、土器川、重信川、肱川、物部川、仁淀川、渡川、四万十川
九州地方整備局
遠賀川、山国川、筑後川、矢部川、松浦川、六角川、嘉瀬川、本明川、菊池川、白川、緑川、球磨川、大分川、大野川、番匠川、五ヶ瀬川、小丸川、大淀川、川内川、肝属川
※ 区分法は1964年の河川法で導入されてからの考え方でり、分水界や大河川の本流と支流で行政管轄を分けていなく、治水と利水を統合した水系ごとに一貫管理するためのものです。複数の都道府県を流れる水系の多くは、一級水系に指定されています。
一級水系の治水について
一級水系の治水についてとは国家が直接管理する主要な河川流域において洪水氾濫の防止や水害の軽減を目的として総合的かつ継続的に行われる各種の水管理施策を指しその内容には河川改修やダム建設堤防強化遊水地整備排水機場の設置といったハード対策のみならず気象情報の監視体制や流域全体での土地利用規制避難情報の提供といったソフト対策も含まれており国土の安全と人命財産の保全を目的とする極めて重要な施策であるため関係省庁や地方自治体流域住民との連携によって多層的な取り組みが展開されている一級水系は全国に約一百九水系存在しいずれも人口密集地域や主要な経済拠点と重なる場合が多く特に都市部における治水対策は経済活動の維持と社会インフラの安定稼働を支える基盤でもあるため重点的な投資と技術的支援が継続されてきた治水の実施にあたってはまず流域の降雨量地形地質土地利用の実態などの自然的社会的要因を詳細に分析し計画高水流量や計画規模を設定した上で対象となる区域の河川断面を確保するための河道掘削護岸工の整備などが進められるまた中流域や下流域ではダムや遊水地の整備により洪水時の流量調整を行い下流への流出量を抑えることが重要とされておりそれに伴って維持管理を担う水資源機構や河川管理者の役割も大きくなっているさらに地球温暖化に伴う気候変動によって局地的集中豪雨や線状降水帯の発生頻度が増加し従来の治水基準では対応が難しくなっていることから最近では流域治水という新たな概念が導入されておりこれは流域全体を一体として捉え森林の保全や農地の保水機能向上都市部での雨水貯留浸透施設の設置など土地利用全体を見直した総合的な治水管理が推進されているまた住民に対してはハザードマップの活用や避難訓練の実施避難所や高台の確保といった自助共助の取組も促されており行政と市民社会が連携した災害対応力の強化が図られている一級水系の治水は単なる河川整備にとどまらず水と共に生きる社会を構築するための公共的かつ計画的なインフラ戦略であり今後も不断の技術革新と制度的支援により安全で持続可能な水環境の形成が求められている。