経年管のご解説
配水管のうち、内面がライニングされていないで、強度の低い鋳鉄管(普通鋳鉄管、高級鋳鉄管)や布設年度の古い鋼管のことを指します。普通鋳鉄管及び高級鋳鉄管は、水道創設期から昭和40年代前半まで使用されていました。経年管は漏水や赤水を発生させやすく耐震性が低いため、水道局では、強度の高いダクタイル鋳鉄管等への更新を積極的に進めています。平成14年度からは、局内に配水本管を対象にK0プロジェクトを立ち上げており、配水小管についても計画的に平成25年度までに、すべて取替え完了する予定となっています。※ 設置してから年数が経過し、点検・更新が必要な水道管も指します。水道局では、お客さまに安心して水道をお使いいただけるよう、経年管の保安に優先順位をつけて、設置時期の早かった管の点検を重点におくなど、設備の効果的な更新・改善を図っています。
経年管の安全性について
経年管の安全性については、配管の材質や使用環境により経年劣化の進行度合いが異なるものの長期間使用された管は腐食や亀裂、摩耗、接合部の劣化などが生じやすく、それらの劣化要因は水漏れや破損、さらには水質悪化の原因となり得るため定期的な点検と適切なメンテナンスが不可欠である。特に鉄管や鋼管は年月とともに錆が発生し管内に赤水を生じることがあり、これは衛生面で問題となるだけでなく配水の信頼性も損なう。一方、塩ビ管や架橋ポリエチレン管などの樹脂系管は化学的耐性が高く錆による腐食は発生しにくいが紫外線や機械的ストレスにより劣化するケースもあり、劣化による脆化や亀裂により漏水リスクが増す。また、経年によって配管の接合部や継手が緩むこともあり、これが漏水や配管破損の原因になる場合も多いため接合部の確認は重要である。さらに、水質の変化や外部環境の影響で管内に堆積物が蓄積し流量低下や水圧の不均衡を引き起こすことがあるため、内部の洗浄や配管更新を計画的に行うことが安全な水供給の維持に繋がる。加えて、老朽管から溶出する金属イオンが水質に悪影響を与えることもあり、特に鉛管や銅管においては水道水の健康影響に注意を払う必要がある。これらの点から、経年管の安全性確保には、点検時の腐食や損傷の早期発見、腐食防止処置の実施、耐久性に優れた材料への更新計画が欠かせない。定期的な水質検査により溶出物質の管理も行い、管の劣化に伴う水質変化を抑制しなければならない。また、漏水検知システムの導入やデジタル管理を活用した状態監視が進んでおりリアルタイムでの異常検知と迅速な対応が可能になりつつある。これにより被害の拡大防止と安全な供給の継続が期待される。近年は経年管の更新において環境負荷低減や資源循環も考慮されており、耐久性の高い新素材の採用やリサイクル技術の活用が進展している。さらに、使用環境に応じた管理基準の設定や専門技術者による施工・維持管理の質の向上も安全性向上の重要な要素である。こうした総合的な取り組みを通じて経年管の安全性は確保され、持続可能な水道インフラの維持に寄与している。将来的にはAIやIoT技術を駆使した予知保全の導入が進み、より高度で効率的な管理体制の構築が見込まれている。これらの技術革新により管路の長寿命化と安全性の両立が実現し安心して利用できる水道供給が持続されることが期待される。