用語大全集:硬度

関東水道修理隊

説明

水道水の硬度は水源の種類などに大きく影響されています。一般的に地下水の方が湖沼水や河川水に比べ高くなる傾向があり、欧米のように石灰質の地域を長い時間かけ通ってくる水の硬度は高く、日本のように地中での滞留時間や河川延長が短い場合、硬度は低めになります。硬度が低い水(軟水)は、あっさりとして癖がなく、逆に硬度が高い水(硬水)は、苦味などを与えます。そのため、おいしい水の観点から、水質管理目標設定項目で10~101mg/Lという目標値が示されています。水に含まれるカルシウムやマグネシウム(ミネラル主要成分)などの量をこれに相当する炭酸カルシウム(CaCO3)に換算し数値で表したものをいいます。

ミネラル量と水の硬度、硬水と軟水の違い
水には主にカルシウムイオンとマグネシウムイオンが含まれていて、水1000ml中に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表わした数値を「硬度」といいます。WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が120mg/l以下を「軟水」、120mg/l以上を「硬水」といいます。簡単にいうと、カルシウムとマグネシウムが比較的多く含まれる水が硬水になります。東京の水道水の硬度は60mg/l前後で軟水に、エビアンの硬度は304mg/lなので硬水になります。また、一般的には、硬度0~100mg/lを軟水、101~300mg/lを中硬水、301mg/l以上を硬水に分けられます。見た目は同じですが、まろやかに感じたり重々しく感じたり、水にも風味があるのはこのため。成分の違いから、一般的に軟水は口当たりが軽く、硬水はマグネシウムが多いほどしっかりした飲みごたえを感じるみたいです。

水道水の硬度を安定化させるためにわ
水道水の硬度を安定化させるためには、水源の選定から浄水処理、供給までの各段階で水中のカルシウムやマグネシウムといった硬度成分の濃度を一定に保つ管理が求められ、水道事業者はまず原水の硬度を常時監視し、取水する河川や地下水の水質特性に応じて必要な混合比を調整することで急激な硬度の変化を防止している。さらに、原水中に含まれる硬度成分が季節や天候によって変動する場合には、複数の水源をブレンドすることでバランスの取れた原水を確保し、それを前提に最適な浄水処理が行われる。処理工程では、急速ろ過法や緩速ろ過法を通じて浮遊物や細菌を除去する一方で、薬品注入によるpH調整や凝集沈殿によって硬度の安定に寄与することもあり、特に高硬度の水を軟化処理する場合には石灰ソーダ法などの軟水化技術が用いられる。こうした処理の結果として得られた水は、最終段階で塩素消毒を経て配水池へ送られ、そこから各家庭や施設へと給水されるが、この段階でも硬度の急変が起きないよう配水経路全体の水質を継続的に監視し、必要に応じて運転調整を行うことで安定性が確保されている。水道水の硬度が不安定であると飲用時の味や風味に影響するばかりか加熱機器や配管内でのスケールの発生、あるいは洗浄効果の低下など生活面での不都合を引き起こすため、地域の水道水質を一貫して一定の基準内に保つことは、快適な生活環境の維持という観点からも重要である。また、硬度の変動によって腐食性が増した水が配管に悪影響を及ぼすこともあり、長期的なインフラ保全の観点からも硬度の安定管理は必要不可欠とされる。このように、水道水の硬度を安定化させるためには、水源管理、浄水処理、配水運用、水質監視といった全工程における精密な調整と運転管理が求められ、さらに住民の快適性や設備の保全、安全な水の供給を確保するための基盤として今後も技術的・運用的な改善と継続的な監視体制の強化が重要である。