空気弁
水道配管内の空気の排除及び吸引を目的として設置する弁のこと指す。配管(管路)内で水と混合していた空気が遊離すると配管内の凹凸部に蓄積された通水を阻害するのでこれを排除するための役割をする。更に、通水時の配管内空気の排除や排水時の空気の吸引をする。空気弁は、設置の目的からも分かるように、配管凹凸部の最も高い位置に設置されています。この空気弁が動作不良になった場合は、排水設備では、排水が遅くなったり流れなくなどの影響が起きます。
空気弁の機能及び仕組みについて
1つの空気弁で排気と吸気の両方の機能を果たす。
吸気
配管工事などで管路から水を抜く為には、どこかから空気を流入させなければいけないので、その為の空気の入口となります。空気弁の内部が負圧(マイナス)となることで外部から空気が流入する仕組み。
排気
配管内の水に含まれている空気が少しずつ分離して次第に管内に貯まると円滑な流通が阻害されるようになってきます。配管内の凹凸部として空気弁を設置して、この部分から空気を排出する働きがあります。また、一時的に水が抜かれたり新設された配管内に充水する際、空気の排出口が必要となります。その為の空気の出口となります。通常は、空気弁の内部が水で充たされていて弁座とフロートが密着することで密封されている。空気弁の内部に空気がある程度蓄積するとフロートが水に浮きながら水面位置まで下がるので弁座とフロートの接触が解かれて外部に空気を排出します。空気の排出によって、水面が上がるとフロートも上昇し、次第に弁座とフロートが密着することで再び気密が保たれるようになります。空気流出過程のいずれにおいても内部の加圧状態が失われることありません。
空気弁を設置していない時の悪影響とわ
空気弁を設置していない場合、配管内に空気が溜まりやすくなり、その結果として様々な悪影響が発生する。まず配管内に閉じ込められた空気が水の流れを妨げるため、水圧の不安定や流量低下を招き設備全体の効率が著しく低下する。また空気が配管内に存在すると水撃現象が起こりやすく、これは急激な圧力変動によって配管や接続部が損傷する恐れがある。水撃は特にバルブの急閉止やポンプの停止時に発生しやすく、適切な空気の排出がなければ破裂や漏水の原因となる。さらに空気の存在は腐食の促進にも繋がる。空気中の酸素が水と接触することで内部腐食が進行し、配管の寿命を短くしてしまう。加えて空気が詰まることで流体の流れが阻害され、これに伴い圧力損失が増加しポンプや他の機器に余計な負荷をかけることになる。結果としてエネルギー消費量が増え運転コストが高くなる。空気弁がない状態では排水不良や逆流が起きやすくなり衛生面での問題も無視できない。配管内に滞留する空気により水が滞りやすくなり、細菌や雑菌の繁殖リスクが高まるため給水設備の安全性が損なわれる。さらにメンテナンス作業も困難となる。空気が閉じ込められていると配管内の圧力が正確に測定できず、問題箇所の特定や修理の効率を下げる。空気弁の設置はこれらの問題を解決するために不可欠であり、空気を適切に排出することで流れを安定させ圧力変動を防ぎ、配管の耐久性を向上させる。空気弁が無いことで起こるこれらの悪影響は設備の故障頻度を増加させ、結果的に修繕費用の増加や設備稼働率の低下を招くため、長期的な運用コストの増大につながる。このため空気弁の適切な設置は水道施設や工業プラントの安定運転にとって欠かせない要素となっている。