用語大全集:水の相互融通

関東水道修理隊

水の相互融通のご解説

近くの水道事業者同士で互いに水を融通すること。震災や水質事故などが起こった時に、給水を安定させることが目的。各管轄自治体間で基本協定を締結する。

東京都は、非常時(風水害などの緊急のとき)における水への安心を高めるため、他県市と水道水を相互に融通する「水の相互融通」の実施に向けた取組を進めています。この度、川崎市と共同で整備を進めてきた「東京・川崎登戸連絡管」「東京・川崎 町田連絡管」が完成しています。また、埼玉県との相互融通に続いて都県域を越えた水の相互融通が可能となります。

水の相互融通の仕組みについて
水の相互融通の仕組みについては、隣接する複数の水道事業体がそれぞれの水源や浄水施設、配水管網を相互に接続し、片方の水道事業体で水源の枯渇や設備の故障、災害などによって一時的に水の供給が困難となった場合に、もう一方の事業体から水を受け取ることで安定的な水の供給を維持するための連携体制を指すものであり、この仕組みによって個々の水道システムが抱えるリスクを分散し、広域的な視点から水資源の有効活用を図ることが可能となる。相互融通を実現するには、事前に各水道事業者の間で協定を結び、融通の範囲や供給条件、費用負担、緊急時の連絡体制などを明確に取り決めておく必要がある。
物理的な接続のために送水管やバルブ、ポンプなどの設備を整備する必要があり、管路の水圧や水質の違いによっては逆流防止装置の設置や混合対策なども講じられる。平常時においても定期的な試験通水や施設の点検、模擬訓練などを通じて実際の融通が円滑に行えるよう準備を整えておくことが求められる。また、広域での水の相互融通は、単に災害対応のみにとどまらず需要と供給の不均衡を補う手段としても有効であり人口減少や節水傾向によって一部の地域で余剰となった水資源を他地域で有効に活用するなど、水道経営の効率化にもつながる。特に大規模地震や台風などの災害時には、断水や水質悪化といった影響が広範囲に及ぶことがあるが、複数の供給ルートが確保されていれば、被害の大きかった地域にも迅速に応急給水を届けることが可能となり住民の生活を守るうえで重要なインフラの一つとなる。こうした相互融通の仕組みは、地域ごとの水資源の偏在やインフラ整備の格差を補完し合う仕組みとして機能し、将来的な水需要の変化や気候変動への適応にも寄与するものであり単独の水道事業では実現しにくい広域的な水の安定供給体制を築くうえで不可欠な制度として高く評価されている。