用語大全集:トリハロメタン

関東水道修理隊

ご解説

消毒に伴い生成する物質を消毒副生成物と言い、その代表にトリハロメタンがあります。トリハロメタンは、メタンを構成する4つの水素原子のうち3つがハロゲンに置換した化合物の総称。代表的なものにクロロホルム (CHCl3) がある。水の中のフミン質などの有機物質が塩素と反応して生成される。水道水の水質基準で、クロロホルム、プロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムの4種類のトリハロメタンとそれらの4種類の合計量である総トリハロメタンに基準値が定められています。水道水中のトリハロメタンは水質や管路内の滞留め時間、水中の有機物質の濃度に応じて増加します。そのため、配水管の切り回しによる滞留時間の短縮や活性炭処理によりトリハロメタンのもととなる物質の除去などにより、低減化を図っています。


トリハロメタンが登場したのは、
1972(昭和47)年のオランダ。ロッテルダム水道のルーク博士はライン河の河川水からトリハロメタンの一種であるクロロホルムを検出し、それが原水には含まれず、河川水を塩素処理することによって生成されたものだということを初めて報告し、注目された。また1974(昭和49)年にはハリス博士が、米国ミッシシッピ州ルイジアナの住民のがん発生率が高いのは、水道水中に存在している有機物が関係していると報告。これ以来、世界各地で水道水の安全性について再検討が精力的に行われるようになった。1975年米国の環境保護庁は全米113都市の水道水中の有機物について広範な調査を実施し、トリハロメタンが多くの水道で検出されることを明らかにした。これによって、トリハロメタンが非常に危険な物質 m109 となったのです。

飲料水とトリハロメタンの関連性
飲料水におけるトリハロメタンとは、主に水道水の消毒過程で塩素やその他の消毒剤が水中の有機物と反応して生成される化学物質群を指すものであり、その発生は水質管理において非常に重要な課題である。トリハロメタンは一般にクロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムなど複数の種類を含み、これらは水の味や臭いに影響を与えるだけでなく長期的な健康リスクも懸念されている。特に、トリハロメタンは発がん性の可能性がある物質として世界保健機関や各国の規制機関が規制基準を設けており、水道事業者はこれを基準値以下に抑える努力を求められている。生成のメカニズムとしては、原水中に含まれる自然発生の有機物質が塩素消毒と反応する際に副生成物として発生しやすいため原水の水質が良好であるほどトリハロメタンの生成は抑えられる。対策としては、原水の有機物除去を強化し、塩素以外の消毒方法を検討するほか、塩素投与のタイミングや量を適切に管理し配水管内での副生成物の発生を最小限に抑制することが求められている。さらに、水道施設の運用管理においてはトリハロメタンの測定を定期的に行い、その濃度を監視することが重要であり基準値を超えた場合は速やかに対応策を講じることが義務付けられている。また、消費者に対してはトリハロメタンの存在と安全性に関する情報提供が透明に行われ、理解と信頼を得る努力も必要である。最近では、より安全で環境負荷の少ない新たな消毒技術やトリハロメタンの生成を抑える処理技術の研究も進んでおり、将来的にはこれらの技術導入により飲料水の安全性向上が期待されている。これらの取り組みは、健康リスクを最小限に抑えるだけでなく、飲料水の安心供給という社会的責務を果たすうえで不可欠なものであり、水道事業者と規制当局、研究機関が連携して継続的に改善を図っていく必要がある。飲料水の安全性は国民の健康を守る基本でありトリハロメタンを含む化学物質の管理は今後も重要な課題であり続ける。