ウォータハンマのご解説
水道の蛇口を急に開閉すると「カン!」という音がします。これは水配管系でのウォーターハンマーで、工場などではポンプの起動・停止やエアベントの急閉止などで発生します。水配管系とは別に、蒸気・環水管系でもウォーターハンマーは発生します。蒸気やドレンによって発生するウォーターハンマーを海外ではスチームハンマーとも呼んでいます。



ウォーターハンマーは文字通り、“ウォーター”つまり水の塊が配管等に衝突したり、塊同士が衝突して、あたかも“ハンマー”のように大きな衝撃を与える現象です。では、なぜ水が配管等に大きな衝撃を与えるのでしょうか?
蒸気・環水管系のウォーターハンマー発生には、主に2つのパターンがあると考えられています。
配管内の高速ドレンが衝突して起こるウォーターハンマー
蒸気が急激に凝縮しドレン同士が衝突して起こるウォーターハンマー
が、あります。
配管内の高速ドレンが衝突して起こるウォーターハンマー
蒸気を輸送する配管では放熱によりドレンが発生します。蒸気が高速で配管内を流れると滞留していたドレンは蒸気の流れに押されて、次第に塊を作り移動を始めます。これは台風の際に発生する高波に近いと言えます。このドレンの塊が蒸気の流れによって高速で配管の中を移動し配管の曲がり部分や配管途中のバルブに衝突してウォーターハンマーが発生します。
蒸気が急激に凝縮しドレン同士が衝突して起こるウォーターハンマー
蒸気は放熱するとドレン化します。蒸気とドレンの比体積差は1000倍以上もありますが、蒸気は冷たいドレンに触れると一気に凝縮して蒸気体積がほぼゼロになります。この凝縮過程で蒸気が存在していた空間は一時的に真空状態になり、この真空部に向かって配管内のドレンが押し寄せ、ドレン同士が衝突することによってウォーターハンマーが発生します。つまり、冷たいドレンと蒸気が混在する環境が危険といえますが、環水管などはむしろそのような環境が通常であり、対策が難しいのもこのパターンの特徴です。蒸気輸送管や蒸気使用装置内でも凝縮によるウォーターハンマーは発生します。
ウォーターハンマーが起きる要因とわ
ウォーターハンマーが起きる要因とは、水の流れが急激に止められた際に配管内で圧力変動が発生し、その圧力が衝撃波として配管全体に伝わる現象によって生じるものであり、特に蛇口やバルブなどを急に閉めた場合に水の慣性が突如として遮断されることで管内に圧力が集中し、その圧力の行き場を失った水が振動を引き起こすことで、打撃音のような異音や振動を伴う現象が発生することが特徴である。水は非圧縮性の液体であるため、移動している最中に急激な遮断が加わると運動エネルギーが一気に圧力へと変換され、その衝撃が配管内部の壁やバルブ部分などに伝達し、それが建物全体にまで響く音として知覚されることもある。また、給水圧が高い建物や配管の長さが長い場合、配管の口径が小さい場合、あるいは瞬間的な止水操作を繰り返す使い方をしている家庭では特にウォーターハンマーが発生しやすくなる傾向があり、加えて配管の固定が不十分であったり、支持金具が劣化していたりするような状況では、衝撃波が配管を大きく揺らし、振動音だけでなく壁や床に共鳴してさらに大きな異音として現れる場合もある。さらに、節水型の急閉止タイプの水栓や電磁弁、または食洗機や洗濯機などの自動機器が使用される場面では、停止動作が一瞬で行われるためウォーターハンマーが特に起きやすく、これが繰り返されると配管の接続部に疲労が蓄積され、最悪の場合には破損や漏水といった重大なトラブルにつながる恐れもあるため単なる音の問題として放置せず原因の特定と対策を早期に講じることが重要である。