横軸ポンプ
ポンプの据付形式は、横軸と立軸の2通りがあります。水道用として使用されるポンプを動作原理に基づいて分類すると、遠心ポンプ、斜流ポンプ及び軸流ポンプに分類されます。軸流ポンプは、羽根の揚力作用によって羽根車内の水に圧力及び速度エネルギーを与えて案内羽根で速度エネルギーの一部を圧力に変換し揚水作用を行うポンプです。
軸流ポンプには、主軸の方向が水平面に対して平行な横軸ポンプ、垂直な立軸ポンプがあります。
横軸ポンプは、立軸ポンプに比べ保守が比較的簡単で水道用ポンプとして一般的に使用されています。
立軸ポンプは、電動機をポンプの上部に設置する構造で電動機を取外した後ポンプを分解するので分解整備等は、横軸ポンプに比較して困難です。
立軸ポンプは横軸ポンプに比べ据付面積が小さくポンプ部分が水中にあるので始動用の呼び水装置が不要です。また、キャビテーション特性に有利な面があります。
特徴
横軸斜流ポンプ
主要部が水上部にあるので腐食が最小限となる。
上部ケーシングを取外すだけで内部の点検ができる。維持管理が容易。
羽根車は使用条件に応じて、オープン形かクローズ形のどちらでも選択できる。
高揚程スクリュー付斜流ポンプ(横軸)
高揚程を単段で達成しているので省スペースである。
吸込性能が優れているのでキャビテーションが発生しにくい。
高揚程でありながら幅広い流量変化に対応。
従来の遠心ポンプと比較して、異物通過性能が優れている。
横軸軸流ポンプ
主要部が水上部にあるので腐食が最小限ですむ。
ケーシングは軸心で上下二つ割りになっているので維持管理が容易。
諸条件により、?形も製作可能。
満水保持ユニット(横軸ポンプ用)
乾式真空ポンプを採用しているので給水設備は不要。清水系統の無水化が可能。
満水保持用の小出力ポンプを採用しているのでランニングコストが削減する。
締切運転が可能。最高負圧の調整が不要で満水保持が容易。
横軸ポンプの仕組みについて
横軸ポンプは、その回転軸が水平に配置された遠心ポンプの一種であり流体を効率的に移送するための機械装置である。流体はポンプの吸入口から入り、インペラと呼ばれる回転羽根車によって回転運動を与えられ、その遠心力により外周部へ押し出される。この動きにより流体は動圧エネルギーを獲得し吐出口から圧力をもって送り出される。インペラはポンプ内部のケーシングに囲まれており、その形状と寸法は流量や圧力に応じて設計されている。横軸ポンプの特徴は回転軸が水平にあるため設置スペースがコンパクトであり配管の取り回しが容易な点にある。これにより工場設備や給水設備、冷却システムなど幅広い分野で使用される。ポンプの駆動は通常モーターによって行われ、モーターの回転は軸を介してインペラに伝えられる。ポンプが回転する際には軸受けによって軸を支持し、軸の振れや摩耗を防止して安定した運転を可能にする。軸とケーシングの間にはシール部品が配置されており流体の漏れを防ぐ役割を果たす。特に横軸ポンプはメンテナンス性に優れており、軸やインペラの交換や清掃が比較的容易に行える設計となっている。流体の流れはインペラの羽根車の回転によって生じる遠心力によって加速され、ポンプケーシング内で流速が圧力に変換されるため、効率的な圧力増加が可能となる。これにより送水や循環、排水など多様な用途に対応できる。
横軸ポンプは吐出し圧力や流量の調整が比較的簡単であり、バルブや可変速ドライブと組み合わせて使用されることが多い。こうした制御により運転条件に応じて最適な性能を発揮し省エネルギー効果も期待できる。ポンプの材質は扱う流体の性質に応じて選択され、耐食性や耐摩耗性を考慮して鋳鉄やステンレス、樹脂製の部品が用いられる。設計段階では流体の粘度や温度、圧力などの条件を詳細に検討し適切なインペラ形状や回転速度が決定される。運転中の振動や騒音を低減するための工夫も施されている。総じて横軸ポンプは、その構造の単純さと効率性により多くの産業分野で不可欠な装置であり、流体移送における信頼性と柔軟性を提供する存在である。今後も技術の進歩によりより高性能で省エネルギーな横軸ポンプの開発が期待されている。