用語大全集:有機物(TOC)

関東水道修理隊

有機物(TOC)のご解説

Total Organic Carbonの略で、水中に含まれる有機物中の炭素を指します。(全有機炭素)主に水中の有機物の濃度を推定するために用いられる指標です。有機物の起因になるものは土壌である他、下水や工場排水が混入することによっても増加し、水道水に渋みがつく原因にもなります。


有機物って何?
有機物とは炭素原子を含んだ化合物質の総称で、生物を構成している大切な要素のひとつです。水中においては、有機物が栄養分と二酸化炭素に分解されることで食物連鎖が起こります。
赤潮など水質汚濁の問題は、工業の発展や人口の集中により自然界のバランスを超えて有機物が海に流れ込んだ場合に発生するものです。その他、飲み水のにおいの原因や細菌などを発生される原因となります。
なぜTOC(全有機炭素)をはかるの?
水中の有機物の量を測定する場合、その種類が膨大な数になるので、まとめて測定する方法を考える必要があります。測定するにはTOC以外にBOD(生物的 酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)という指標があります。この2つは有機物が分解される際には必ず酸素が消費されるという特性を利用し微生物の 酸素消費量や酸化剤の消費量により有機物の量を関連付けることで測定します。しかし、CODには使用する酸化剤の種類、反応温度や反応時間などによって測 定結果が異なる場合があり、BODには培養に時間がかかることや操作も煩雑である等の問題があります。
これに対し、TOC(全有機炭素)は有機物の分解により発生した二酸化炭素の量を測り有機物の量に関連付けるため測定時間が短縮される連続測定が可能になる等の特長があります。
TOC(全有機炭素)の測定方法について
TOC(全有機炭素)の測定は、有機物を分解する手法と二酸化炭素の測定方法を組み合わせるため次の3種類の測定方法があります。

水道水における有機物について
水道水に含まれる有機物は自然環境や人為的な影響により水源から浄水場に至るまで様々な形態で存在し、その種類や濃度は水源の特性や周辺環境に大きく左右されます。有機物は主に動植物の残骸や微生物の代謝産物から成り天然有機物として知られるものが多いが、農薬や工業排水、生活排水に由来する人工的な有機物も含まれています。これらの有機物は水中で複雑な化学反応を起こし水の味や臭気に影響を及ぼすだけでなく、浄水処理の過程で塩素消毒と反応してトリハロメタンなどの有害な副生成物を形成する原因ともなります。浄水場ではこうした有機物を効果的に除去するために凝集沈殿やろ過のほか活性炭吸着やオゾン酸化といった高度浄水処理技術が活用され水質の安全性と快適性を確保しています。有機物の管理は水質基準の設定においても重要視されており総有機炭素量(TOC)やUV吸光度などの指標を用いてその存在を監視し水源や浄水処理施設の状況に応じて適切な対策が講じられています。特に、腐敗や微生物の増殖を促進しやすい有機物の管理は配水管内の水質維持にも直結しており給水環境全体の衛生確保に欠かせません。
近年は新たに検出される微量有機物や内分泌かく乱物質、医薬品類など多様な有機化合物への対応も課題となっており研究と技術開発が進められています。こうした背景から水道水の有機物管理は単に水の清澄化や消毒効率向上にとどまらず水の安全性と環境保全、さらには人の健康維持に直結する重要な分野として位置づけられています。今後も多様化する水質リスクに対応するために高度な検査技術と浄水処理技術の導入が求められ続けるでしょう。