簡易専用水道のご解説
工場などに設置されているものなどで、飲み水として使用しない場合は水道には該当しません(水道法第3条第1項及び第7項)。水道事業の水道から供給される水のみを水源とし、その水をいったん受水槽に貯めてから給水、受水槽の有効容量を超えるものを簡易専用水道と言います。簡易専用水道とわ
各都道府県や市町村などの水道から供給される水だけを水源として、その水を受水槽にため、ポンプで高置水槽に揚水(直接ポンプで給水するものもある)して各階に給水する水道で、受水槽の有効容量の合計10m3 を超えるものを簡易専用水道といいます。ただし、工場などに設置しているもので、まったく飲み水として使用しない場合は水槽の容量が10m3 を超えても簡易専用水道には該当しません。また、地下水(井戸水)を揚水して受水槽にため供給しているものは、簡易専用水道ではありませんが、101 人を超える居住者または一日最大給水量20m3 以上を給水する場合は、「専用水道」として別の規制を受けることがもあります。
簡易専用水道を使用する効果
簡易専用水道を使用する効果は、集合住宅や商業施設など一定規模以上の建築物において安定した水供給を確保し水圧の低下や供給不良といったトラブルを防止する点にある。特に高層建築物では水道本管からの直結給水では十分な水圧が得られないことが多いため、受水槽や高架水槽を設置して簡易専用水道として管理することで建物全体に均一な水圧で安定的な給水を実現できるという利点がある。また、災害時や断水時など外部供給が一時的に停止した場合でも受水槽に一定量の水を蓄えていることで一定時間の水使用が可能となり緊急時の備えとしても非常に有効である。さらに、簡易専用水道は水質管理においても責任が明確であり、設置者が自主的に定期的な水質検査や清掃を行うことで、水の安全性と衛生状態を保つことができるため住民や利用者に安心感を提供する重要なインフラである。特に、給水人口が100人を超える施設においては水の利用頻度も高く簡易専用水道による安定供給は日常生活や業務活動の円滑な継続に大きく寄与する。加えて、設置者が構造設備の点検や修繕を計画的に実施することで、漏水や老朽化といった問題の早期発見と対応が可能となる。長期的なコスト削減や設備の延命にもつながる。これにより、公共の水道インフラに過度な負荷をかけずに、施設ごとの独立性を確保しつつ、利用者に対して質の高いサービスを継続的に提供することができる。簡易専用水道はそのような特徴を通じて、水の安定供給、安全管理、緊急時対応、設備保全、コスト効率の向上という多面的な効果をもたらし特定用途における水利用の質を高めるための有効な手段として現代の都市生活や施設運営において重要な役割を担っている。