用語大全集:高架水槽

関東水道修理隊

ご説明

一般的には、受水槽以下の設備としてビルやマンション等の建物の最上階(屋上部)に設置されていて受水槽より下階に自然流下で給水する水槽のことです。高架水槽、高架タンク、高置水槽とも一般的に言っています。受水槽からポンプで揚水するので有効容量は計画一日最大使用水量の0・1 程度とするものが一般的に多いです。受水槽と同様に建築基準法により衛生上及び保守管理上必要な構造上の基準が定められています。各種の材料により建造されていますが、水質面からは光線を透さないことも最重要とされています。
管理につきましては、日本国憲法の水道法のほかに建築物における衛生的環境の確保に関するビル管理法やその他各地方自治体の要綱などにより厳しく規制されています。

高架水槽の耐久年数と衛生管理について
高架水槽の耐久年数と衛生管理について述べる。高架水槽はマンションやビルなどの高層建築物において安定した水道水の供給を確保するために設置される貯水装置であり屋上などの高所に設けられ自然落下の圧力を利用して各階に水を供給する構造である。高架水槽の耐久年数は使用される材質や設置環境保守状況に大きく左右されるが一般的には二十年から三十年程度が目安とされており経年劣化による漏水や腐食が進行することで安全性や衛生状態に影響が出ることがあるため定期的な点検と適切な管理が重要である。高架水槽にはFRP製やステンレス製鋼板製などの素材が用いられておりそれぞれに耐久性の特性があり例えばFRP製は軽量で耐食性に優れるが紫外線による劣化の影響を受けやすく外装塗装の劣化やパネル部のひび割れが発生しやすいため外観の変化や変形を見逃さないことが必要である。ステンレス製水槽は耐久性が高く錆に強い特性を持つが設置場所の条件によっては電食現象が発生する可能性があるため接地処理や絶縁の確認が求められる。高架水槽の衛生管理については飲料水の品質を維持するために極めて重要な要素であり水道法施行規則に基づき一年に一回以上の定期的な清掃が義務付けられている。内部の清掃に際しては水槽内に溜まった沈殿物やスライムの除去を行い内壁の洗浄と消毒を徹底することで細菌の繁殖を防止し安全な水質を維持することが求められる。また高架水槽の点検では漏水の有無や蓋の密閉性内部の腐食状況や構造部材の緩みなどを確認し異常が発見された場合には速やかな補修や交換が必要となる。特にマンホールの蓋の劣化や破損は異物混入や昆虫の侵入を招く要因となるため点検時には厳重なチェックを行うことが望ましい。さらに高架水槽の水質管理として水温や残留塩素濃度の測定も定期的に実施されるべきであり特に夏季の高温時には水温が上昇しやすく水質の悪化を招く恐れがあるため断熱対策や遮光措置の実施が推奨されている。またポンプ系統や給水配管の逆流防止装置の作動確認も重要であり給水系統の中で高架水槽が最上位に位置する構造上逆流が発生すると衛生リスクが拡大する可能性がある。高架水槽の衛生管理と耐久性の維持は住民の健康を守ると同時に建物の資産価値を保つうえでも不可欠な取り組みであり所有者や管理者は水道事業者や保守会社と連携して長期的視点に立った維持管理計画を策定し定期的な点検と清掃を欠かさず実施する必要がある。総じて高架水槽はその耐久性と衛生状態が直接的に居住者の生活の質と安全性に関わる重要な設備であり適切な管理を継続することによって初めて安定した水の供給と安心な暮らしが確保されると言える。