用語大全集:山腹工

関東水道修理隊

山腹工とは?

山腹工は、荒廃した山の斜面の崩壊や浸食を防いだり植生を形成させることで防災機能の高い森林を形成することを目的としている。工種は、山腹基礎工・山腹緑化工・落石防止工の3種あり、それぞれの荒廃地の特性に応じた工種工法で施工実施されることになります。山腹工とは、裸地あるいは崩壊地の地表土の風化・侵食・崩壊の拡大を防止して、土砂生産の抑制を図る工事の総称で、大別して鉄筋やコンクリートで地表を固定する手法と植物を用いる手法がある。

田上山で行われている山腹工は、積苗工と呼ばれる植物を用いる手法で実施しています。荒廃斜面に筋状の床掘りを行い、ワラなどによって保水性を高めて苗木を植えています。これまでは、クロマツを主木として植樹していましたが、樹種構成の多様化が求められ最近では広葉樹を植樹しています。
木津川で行われている山腹工は、崩壊地からの土砂流出を抑制して自然の力で緑を復元していくもので資源の有効利用として使用した間伐材は斜面に植生が回復する頃には腐食して土に還っています。
大薙山腹工
大薙は男体山の東南の斜面にあり薙の中では最も大きく崩壊斜面は尾根まで達しています。この崩壊地は、約300年前の天和3年(1683年)の大雨を伴った大地震によって発生したと言われています。山頂に至る山腹をつらぬいて、平均勾配28度、薙巾300メートル~400メートル、浸食深70メートル~100メートル、現在もなお崩壊が継続しています自然復旧の見込みはほとんどありません。 大薙山腹工は、崩壊地からの土石流が日光市街に大きな被害をもたらすのを防ぐために男体山の風景美を維持しながら、崩壊地を緑豊かな自然に復元しています。

 


山腹工における水道配管の設置に効果について
山腹工における水道配管の設置に効果がある理由は、傾斜地や山間部といった地形条件の厳しい地域において斜面の安定を確保しつつ効率的かつ安全に給水管を敷設することが可能になるためであり、山腹工を活用することで地盤の崩壊や土砂の流出を防ぎながら、水道施設の支持基盤としても機能する構造体を設けることができる。これにより、豪雨や地震など自然災害時の被害リスクを軽減し、長期にわたり安定した配管の維持が可能となる。山腹工の擁壁や法枠構造を利用することで、配管ルートを地表面より高い位置または一定の深さで確保でき土中の圧力変化や植生の影響を受けにくくなる。さらに、斜面の傾斜を利用して適切な勾配を設定することにより水の流れや空気の滞留を防ぎ、配管内での汚染や腐食のリスクも減少させることが可能となる。また、山腹工はアクセス困難な地形にも対応可能な施工手法であり、作業員の安全確保や工事期間の短縮にもつながるという点で、施工管理面においても優れている。特に、既存の山腹工の構造を活用することで、新たな掘削や大規模な地形改変を必要とせずに配管を通すことができ自然環境への影響を最小限に抑えた工事が実現できる。
山腹工の定期的な点検と連携させて配管の維持管理を行うことで、異常の早期発見や迅速な対応が可能となり、修繕や更新の効率化にも寄与する。このように、山腹工における水道配管の設置は、地形条件を克服しつつ給水の信頼性と施工性、維持管理の効率を同時に高めることができる点において極めて効果的な手法であり特に中山間地域におけるインフラ整備においてその価値が高く評価されている。