解説
明治時代の改修工事(※1参照)で設置された水制群に長年の間に土砂が堆積した結果、水制と水制の間に成立したなかば閉鎖的な水域のことをいいいます。ローカルな名称と言っていいでしょう。「ワンド」では、水がよどんで水面はおだやかであり水深も浅いことから植生や水生生物など豊かで、生物にとって良い生息域となっていることから、近年生体学的な観点から、その価値が高く評価されている。
※1 この改修工事の目的は、蒸気船が淀川を通って大阪湾から京都伏見まで行けるように、1.5mの水深を保つこと。水路を曲げて長くして川の水の流れの速度を抑えることを目的とした工事である。この水制に囲まれたところに土や砂が蓄積し、その上に水際をこのむ木や草が生えワンドができました。
ワンドとは、淀川本流とつながっているか水が増えた時につながります。
河川敷の小さな池のことを指します。川の水や雨水が貯まってできた「貯まり」と区別してワンドと呼ばれています。
ワンドの環境
ワンドは、水の流れがなく池などに生息する魚にとって良い環境となっています。 また、水辺の植物の生えているところは魚が卵を産んだり稚魚が成長したりする環境で良い場所となっています。個々のワンドの広さは、広いとは言えません。しかし、浅いところ、深いところ、流れのあるところ、よどみがあるところ、植物や水制を形づくる石積みのあったりなかったりするところなど、さまざまな環境があります。また、ワンド中央付近の底にはさまざまな厚みの泥が蓄積しています。このように、ワンドの中は、さまざまな自然環境がありますので、沢山の種類の生物が個々にあった場所を探して生活しています。しかし、現在のワンドは浅いところが少なくなって、深いところが増えたので、アユモドキやスジシマドジョウなど最近では姿が見られなくなってしまった魚もいます。また、無許可で放流したブラックバスやブルーギルなどの外来種の魚がワンドでも見られるようになり、昔から淀川にすむ魚を減ってきています。 さらに、悪戯や不注意でゴミを捨てたりしてワンドの環境を悪化させています。