尿石が小便器を詰まらせる
今年の夏は、非常に暑く大雨も多々ありました。管理会社から管理している物件で会社の営業所で小便器が詰まったとの小便器のトラブルがあり見に行ってきました。担当の方から状態を聞いてみると「小便器だから詰まるわけないだろう!」とのこと。だけど、小便器でもトイレの排水詰まりは起きるのです。それも悲惨な詰まり方をしてしまいます。その原因は、尿石です。尿石は、尿に含まれる成分が便器内で固まったもので排水管内で硬化することが多く硬化すると最悪で排水管の交換や小便器交換を要してしまいます。尿石には尿中の有機物や尿素、カルシウムイオンが含まれていて排便時の洗浄・希釈が不足すると便器内や排水管に滞留してしまいます。滞留中に腐敗分解濃縮が行われて小便器内の排水トラップや排水管内にカルシウムがアンモニアなどの成分を含みながら沈着し排水管内が動脈硬化のような状態になり排水不良や詰まりが起きてしまいます。こんなことにならない為にも小便をした時に必ず排水することしか予防策がありません。もし、流れが悪くなってきたと感じましたら早めに市販されている洗浄剤や業者に点検してもらうことをお勧めします。
尿石が排水配管内で固まったときの解消策がない理由
尿石が排水配管内で固まった場合に確実な解消策が存在しない理由は、まず尿石が一度配管内に付着すると時間の経過とともに水に溶けにくい硬質な結晶へと変化し配管の内部に強固に固着してしまうためである。尿石は単なる無機物ではなく尿に含まれるカルシウムやマグネシウムと有機物や細菌が結び付いて化学的に複雑な構造を持つようになる。そうした構造は一般的な清掃や軽度の薬剤処理ではほとんど効果が得られない。加えて排水配管は通常建物の床下や壁内に設置されており簡単にアクセスできない。そのため目視確認や物理的な除去が非常に困難となる。また配管の材質には塩化ビニルや鉄鋼など様々な種類があり、それぞれに対して適した処理方法が異なる。誤った方法で尿石除去を行うと、配管の内面を損傷し漏水や破損を引き起こす恐れがある。さらに尿石の除去が一時的に成功したとしても、表面のみが削られた場合には残留物がすぐに再結晶化し短期間で再発する可能性が高い。加えて市販されている尿石除去剤の多くは強酸性や強アルカリ性の薬品であり、使用には高度な注意が必要となる。専門業者による高圧洗浄やスコープを用いた内部調査には高額な費用と専門知識が求められる。一般家庭や施設ではそれらの対応が現実的ではない場合が多い。最終的に確実な解消を目指すのであれば、尿石が発生した配管の一部または全部を交換するしかないが、それには大規模な工事が伴い時間的にも経済的にも大きな負担が発生する。以上のように尿石の性質と配管の構造的な制約、再発リスクの高さ、対処にかかるコストと手間の複雑さが重なり合うことで、排水配管内で固まった尿石に対する確実な解消策が存在しないのである。